流通4団体の合同による第6回「流通BMS普及推進説明会」を開催(広島)

 

日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、(一社)新日本スーパーマーケット協会、(一社)日本ボランタリーチェーン協会の流通4団体合同による第6回流通4団体合同「流通BMS普及推進説明会」が2012年7月27日、広島市のRCC文化センターで開催された。講演では、流通システム開発センターの担当者が流通BMSの概要を説明するとともに、流通BMSを積極的に導入しているスーパーマーケットとして、イズミ、ハローズ、イオングループの担当者が導入事例を紹介した。

講演:『流通BMS普及促進事業について』
-なぜ今、流通BMSの導入を検討すべきなのか-
新日本スーパーマーケット協会 事務局長 島原康浩

説明会に先立ち、新日本スーパーマーケット協会の島原康浩事務局長が、流通4団体が推進する流通BMSの普及活動方針を解説。続けてSCSKのサービスを推奨VANに選定した経緯を説明し、「個社で導入するより大きなメリットが得られる」と強調して導入を呼びかけた。

さらに島原氏は、流通4団体が全国主要都市で流通BMS普及説明会を開催した結果、スーパーマーケットの理解が高まり、導入予定企業の数が半年前の31%から53%に増えていると延べ、「スマクラへの理解を深め、少しでも早く導入を検討して欲しい」と語った。

講演:『現行業務の課題解決を流通BMSで実現』
-伝票レス化による業務効率向上など社内にもたらされる効果に関して-
株式会社イズミ 営業本部 物流課 課長 米谷明浩 氏

流通BMSにいち早く対応したスーパーマーケットの事例として、広島市に本社を置く株式会社イズミの米谷明浩氏が講演を行った。中国、四国、九州を中心に81店舗のスーパーマーケットを運営するイズミが流通BMSに取り組むきっかけになったのは、システム部門から物流部門への呼びかけだったという。「JCA手順はコストがかかるうえに、伝票の削減も進まない。2010年当時、EDIでデータ交換を行っていた取引先は、約2500社ある取引先の中の16社で、全体の伝票枚数の約5%に過ぎなかった」と米谷氏は振り返る。そこでシステム部門と物流部門が共同で、取引先数社に出向いて聞き取り調査を行った結果、流通BMSの導入に対して前向きな回答が得られたことから、2011年9月に流通BMSの導入を本格的にスタート。2012年7月現在、84社の取引先が流通BMSに対応している。

イズミは、流通BMSで伝票廃止を実現した。かわりに納品に際しては、必ず納品明細書を持参することをルールに定めた。物流センターと店舗では、この納入明細書を見て納品個口数を照合し、入荷した商品に対応する伝票番号の計上を行っている。米谷氏は「伝票が少なくなったことで伝票保管ペースが縮小し、伝票保管コストや廃棄コストの削減が進んだ。また、伝票検索も簡単になり、商品コードや仕入れ先別に素早く探せるようになった」と導入効果を語った。

イズミにおける取り組みのポイントについて米谷氏は「システム部門、商品部門、物流部門の3部門が協力体制を敷き、取引先に対する呼びかけや確認を継続して行ったことが成功の秘訣」と説明。今後の課題については、「運用面の使いやすさを考慮し、店舗の従業員が使いやすいシステムに改善を重ねていく」と強調し、2012年度中には新たに257の取引先が流通BMSに対応する予定であることを明らかにした。

講演:『流通BMS導入のきっかけと導入効果』
-業務のスピードアップと工数削減-
株式会社ハローズ 取締役 経営企画部長 前田秀正 氏

広島、岡山、香川、愛媛に52店舗の食品スーパーマーケットを展開する株式会社ハローズの前田秀正氏が、同社における流通BMSの取り組みを語った。2010年に本部を岡山県の早島に移転し、2011年に早島センターを全面稼働させたハローズは、店舗数の増加に伴い、データ伝送に大幅な時間がかかるようになっていた。「データを送受信するだけで1時間以上かかり、取引先の出荷時間に影響が出始めていた。このままデータ量が増え続けると、さらなる時間を要することから、データ連携のスピードアップを目的に流通BMSの導入を決断した」と前田氏は振り返る。

流通BMSをはじめとするEDI化のプロジェクトは2008年からスタートし、2009年2月から流通BMSによるメッセージ交換を開始。以降順次展開を重ね、2012年5月現在、全取引先486社中95社が流通BMSに対応している。導入に際して考慮した点について前田氏は「取引先に対してソフトのインストールからフォーマット変換までをサポートし、操作テストと運用テストを実施した」と語った。

導入の結果、データ連携スピードは従来のJCA手順と比較して20倍向上し、取引先や物流センターの出荷時刻が厳守されるようになった。また、月に12万枚(取引全体で21%)あった手書き伝票の数が7400枚(取引全体で1.5%)に削減され、経理業務の効率化が進んだことも大きな効果だ。さらに、請求レスによる照合作業の軽減によって月次決算が3日前倒しとなっている。前田氏は「もし流通BMSがなかったら、2011年3月に稼働した在庫型センターのフル稼働は難しかった」と振り返る。

今後は、2012年10月に稼働予定の通過型センターの流通BMS対応を進め、さらに、PB発注・開発輸入商品への対応、日付管理のシステム化など、利用範囲を拡大する考えを明らかにした。最後に前田氏は「取引先とのデータ交換率を高めることが、双方の業務改善につながることは間違いない。協業手段のひとつとして流通BMSは必須である」と語って講演を締めくくった。

講演:『イオングループにおける全国と西日本での流通BMSの取組み』
-流通BMSへ2012年末完全移行をめざす-
イオンアイビス株式会社 システム開発本部 本部長 北澤清 氏

続いて、イオングループのITおよびバックオフィス業務を担当するイオンアイビス株式会社の北澤清氏が、イオングループにおける全国と西日本での流通BMSに対する取り組みについて講演した。イオングループでは、2012年12月末までに流通BMSに完全移行し、2013年にはJCA手順のEDIシステムを停止する移行方針(目標)を掲げている。完了日を定めて移行することに対して北澤氏は「サプライチェーン全体最適化を早期に推進することが第一の目的。さらに、自社構築の大型汎用機をリプレースすることで、ITコストの低減も期待できる」と語った。

2011年7月以降、取引先説明会を随時開催しながら流通BMSの対応を進めた結果、2012年6月時点の導入実績は、本番稼働が1220社で、並行テスト中が574社、合計約1800社の取引先が流通BMSに対応している。移行計画が未定の取引先に対しては継続的にアプローチをかけ、2012年12月末までの対応を呼びかけていくことを明らかにした。

最後に流通BMSの今後の活用について北澤氏は「Eコマース用の商品画像の標準化やドラッグの調剤分野への適応に期待している」と延べ、「製配販協働でサプライチェーン全体の効率化を実現させる流通BMSの早期導入をお願いします」と呼びかけて講演を終えた。