EDIコラム「製造業のDXで優先すべき課題「受発注のデジタル化」」(2023/12/22更新)

EDIに関するお役立ち情報:EDIコラム「製造業のDXで優先すべき課題「受発注のデジタル化」」

製造業の企業にとってデジタルトランスフォーメーション(DX)は、大きなチャンスととらえるべきムーブメントでしょう。デジタル化によって業務効率を向上させ、業務スピードを上げることが事業の成長には欠かせません。その中でも、事業の根幹を支える「受発注のデジタル化」は、優先すべき課題として言えるでしょう。

まだまだ進んでいない企業間の電子商取引

製造業の企業における、現状の発注の仕組みを考えてみましょう。まだ郵送や電話、FAXを駆使して、ベテラン社員の方が一手にこの業務を引き受けていないでしょうか。

以下の図は、BtoB-EC市場規模とEC化率を示したものです。BtoB-EC市場規模は、企業間または企業と政府間で、ECを利用して受発注を行った財・サービスの取引金額のことです。ECは電子商取引のことで、全てのインターネット取引およびEDI、またはその他の自動取引に利用されるオンライン・アプリケーション(Minitel、双方向電話システム等)上で受けた・行われた注文を指します。そして、EC化率は電話、FAX、Eメール、相対(対面)等も含めた全ての商取引金額(商取引市場規模)に対するEC市場規模の割合です。

この図を見ると、国内企業全体のEC化率はまだ3割程度で、それほど進んでいないことが分かります。しかし、従来の手作業を中心としたやり方では、手間も時間もかかり、単純なミスも起きがちです。DXが叫ばれる中、電子商取引へ変更しようと考える企業は大幅に増えてくるでしょう。取引先とのやり取り、特に発注業務に関しては、自社主導で進められる課題です。ここをEDIによって電子化することで、業務効率が大きく向上します。

BtoB-EC市場規模の推移

BtoB-EC市場規模の推移

【出典】経済産業省:令和4年度 電子商取引に関する市場調査(令和5年8月)

「令和4年度 電子商取引に関する市場調査」の詳細をみる

受発注業務のデジタル化が求められている背景

EDIなどによる受発注業務のデジタル化を進めるべき背景として、コロナ禍が挙げられます。

感染拡大と収束を繰り返す中で、多くの組織が、従来のように従業員全員がオフィスをベースに仕事をする、という慣行を改めざるを得なくなっています。製造業企業でも、ものづくりの現場以外で働く人たちを、適宜リモートワークをできるようにする傾向にあります。また、製造部門の設計や生産管理部門で働く人たちも、リモートワークの環境さえ整えば可能です。生産現場でも「スマート化」が進むなどして、業務の中にリモートで行えるものを増やしていくことは今後、当たり前になっていくはずです。

数年前に初めての緊急事態宣言が出されたころ、企業でリモートワークが推奨されるようになりましたが、そのときに「リモートワークができない業務もある。経理担当者が印鑑を捺印しなくてはならない業務があったり、その他システムの操作も、オフィスでないとできないケースがある」といった意見が出ました。その流れから、「社外からでもシステムを操作できる」という施策を取るケースが増えています。また、人材採用においても、リモートワークができるかどうかを希望する人が増えています。

受発注業務のデジタル化

こう考えると、受発注業務そのものに携わる人たちが、リモートワークができないという環境は、不合理な印象を持たざるを得ません。こうしたことからも、電子商取引ができるよう受発注業務のデジタル化を進めることは、避けて通れない課題となっています。

サービス化されたEDI「Web-EDI」で導入が容易に

受発注業務のデジタル化の追い風となっているのが、「サービスとしてのEDI」が進んでいることです。

これまでのEDIは、ISDNなどの専用回線を利用し、システム面でも自社内で作り込み、保守運用を行うというケースがほとんどでした。そのため、メンテナンスなどの維持費用や、取引先の要望に応じたカスタマイズなどにもコストがかかっていたため、中小企業にとってはなかなか導入しづらい仕組みでした。

しかし、現在では、Webブラウザを用いて、PDFやCSVなどのデータ形式のファイルをやり取りすることで受発注ができるサービスが、クラウド型で提供されるようになっています。しかも、こうしたサービスの中には、受発注だけでなく、見積り、請求、出荷、納期回答など、さまざまな関連業務をこなす機能と書式のテンプレートを基盤機能として搭載するサービスも登場しています。

従来のEDIは、取引先のシステムによっては、別途対応するシステムを購入する必要が出てくることもあり、担当者が複数のシステムを使いこなすため、ミスやトラブルが頻発することがありました。しかし、プラットフォーム型のWeb-EDIサービスは、各業界で提供するVANにも随時対応し、1つのサービスですべての仕組みに対応できるレベルに到達しています。また、やり取りする書式のカスタマイズ対応なども容易になっており、契約後すぐに実際の業務に利用できるものとなっています。

Web-EDIシステムの例

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「受発注のデジタル化」でDXを加速させる

Web-EDIを活用した受発注は、製造現場全体のデジタル化にも貢献します。例えば、EDIプラットフォームと製造プロセスを管理するシステムとを連携させ、適正な仕入れ、在庫といった効率的な生産活動が可能になります。さらには、過去の受発注データから、顧客企業の発注傾向や、発注先企業の能力の見極めなどの分析もできるようになります。

また、受発注業務が標準化・自動化されることで、誰もが比較的に容易に業務できるようになり、経験の豊富なベテラン社員が担当しなくてもよくなります。こうした人材を、より付加価値の高い業務へシフトできることは、有能な人材を確保することが難しくなっている時代において、大きな意味をもちます。

Web-EDIサービス選定

冒頭で記したように、日本のEC化率はまだまだ低い状況です。だからこそ、いち早く電子商取引に取り組むことが、他社との差別化要因となります。また、新しいビジネスの創出のためのDXは、成功するかしないかが不確実ですが、EDIは、多くの企業がすでにそのメリットを享受している投資対効果の高い施策です。事業の根幹を支える受発注業務をWeb-EDIへ移行することは、DXを進めるうえで、まっさきに取り組むべき課題と言えるでしょう。

また、その際に、「取引先(中小メーカー)の要望に応える接続サービス」「高機能のポータルサイトで、利用者へきめ細いサービスが提供できるサービス」「法改正(インボイス対応、電子帳簿保存法)に対応可能なサービス」「多種多様な伝送方式(レガシー手順、インターネット手順)に対応可能なサービス」といった観点でサービス選定をすることで、取引先の利用率を高め、後々の運用もスムーズに行えます。

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