EDIコラム「水産流通適正化法とシステム対応」(2023/10/16更新)

水産流通適正化法とシステム対応

違法に採捕された水産動植物の流通を防止し、流通及び輸出入の適正化を図るため、2022年(令和4年)12月1日に「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律」(水産流通適正化法)が施行されました。

本コラムでは、水産流通適正化法とシステム対応について解説します。

水産流通適正化法について

水産流通適正化法の施行に伴い、特定第一種水産動植物(※アワビ、ナマコ)を採捕する漁業者又は漁業者が所属する漁協(以下、「採捕事業者」という。)、及び流通、加工、販売等を行う事業者(以下、「取扱事業者」という。)は、事前に届出の上、番号を取得し、流通の際には、その番号等の伝達と取引記録の作成、保存が義務づけられます。※2025年(令和7年)からウナギの稚魚も対象になります。

また、特定第二種水産動植物(サバ、サンマ、マイワシ、イカ)を輸入する場合は、当該国が発行する適法に採捕されたことを示す証明書の添付が義務づけられます。

スマクラご利用のお客様に当てはめると、販売を行う事業者がスーパーマーケット、また、流通、加工を行う事業者が水産(加工)卸、となります。

法令・制度の詳細については、水産庁ホームページをご覧ください。(具体的な運用については、所轄の行政機関(都道府県)のホームページをご覧ください。)

水産流通適正化法について(水産庁ホームページ)

<水産流通適正化法概要> ■法律名 「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律」(水産流通適正化法)(令和2年法律第79号) ■施行 令和4年12月1日 ■国内水産物 目的:国内における違法漁獲物の流通防止のための規制 対象:アワビ、ナマコ、シラスウナギ(全長13cm以下、2025年から施行) 規制:採捕,販売,加工又は輸出等を行なう事業者に対し、農林水産大臣又は都道府県知事への届出等の義務付け 罰則:採捕事業者及び取扱事業者が届出をしないで特定第一種水産動植物等の譲渡し等を行った場合は、50万円以下の罰金刑(直罰規定)
採捕事業者及び取扱事業者が情報伝達義務違反又は取引記録の作成保存義務違反をした場合は、50万円以下の罰金刑(間接罰規定)
■輸入水産物 目的:IUU※漁獲物の流入防止のための輸入の規制 対象:サバ、サンマ、マイワシ、イカ 規制:適法に採捕されたことを示す外国の政府機関等発行の証明書等が無ければ、輸入してはならない 罰則:特定第一種水産動植物等の輸出事業者が、適法漁獲等証明書を添付せずに輸出した場合は、50万円以下の罰金刑(直罰規定)
特定第二種水産動植物等の輸入事業者が、外国の政府機関により発行された証明書等を添付せずに輸入した場合には、1年以下の懲役または 100 万円以下の罰金刑(間接罰規定)
※IUU漁獲物:規制を無視して魚を取る、漁獲量をきちんと報告しないといった、「違法Illegal・無報告Unreported・無規制Unregulated」で行われた漁獲物のこと。

制度の概要(特定第一種水産動植物等関係)

1.制度スキーム

制度スキーム 図1※

2.特定第一種水産動植物(アワビ、ナマコ)事業者に係る義務について 事業を行う者や義務は下記のとおりです。 特定第一種水産動植物(アワビ、ナマコ)事業者に係る義務について

特定第一種水産動植物(アワビ、ナマコ)事業者に係る義務について 図2※

3.届出先、届出方法について 届出先、届出方法については、所轄の行政機関(都道府県)のホームページをご覧ください。
【参考】届出は農林水産省共通申請サービス(eMAFF)で実施されます。
当システムで実施できるのは、事業者としての登録だけです。

特定第一種水産動植物(アワビ、ナマコ)事業者に係る義務について 図3※ ※ 本文中の図1~図3の出所:「水産流通適正化制度について 令和4年10月/水産庁」

4.加工事業者、流通事業者(産地市場一次買受人、卸売業、仲卸業等)が対応すべきこと、および小売事業者、飲食店、宿泊事業者等が対応すべきこと 加工事業者、流通事業者(産地市場一次買受人、卸売業、仲卸業等)が対応すべきこと(法律で規定していること)は次の3点になります。
スマクラご利用のお客様に当てはめると、販売を行う事業者がスーパーマーケット、また、流通、加工を行う事業者が水産(加工)卸、となります。ここで記載している対応すべきこととは、流通、加工を行う事業者、即ち、水産(加工)卸が対応する内容になります。

対応すべきこと(法律で規定していること) 図4※

次に、小売事業者、飲食店、宿泊事業者等が対応すべきこと(法律で規定していること)は、専ら消費者に対し販売、提供する場合は1点、小売事業者等が業務販売を行う場合は、3点になります。

対応すべきこと(法律で規定していること) 図5※

なお、水産流通適正化制度における、仕入れに係る取引記録の作成・保存については、次の記載があります。

仕入れに係る取引記録の作成・保存 図6※

以上により、電子データに記録すべき事項が全て記載されていれば、電子帳簿保存法の義務への対応による保存で、当制度の保存義務を果たす、ということになります。電子帳簿保存法の義務への対応で保存対象となっているEDI取引で取り交わされている取引データも同様の条件となります。
記録する項目について流通BMSでは既にインボイス対応・電子帳簿保存法に対応できています。また記録の保存期間は、電子帳簿保存法対応が7年ですので、電子帳簿保存法の保存義務に対応できていれば3年間の保存はこの期間内のため条件を満たします。水産化流通適正化法の記録項目については、1.記録する事項の5項目(既に4項目は流通BMSで対応済み)のうち、流通BMSでは不足している、「(5)漁獲番号又は荷口番号の情報」を追記できれば、取引等の記録の作成・保存義務を満たすこととなります。

記載例(納品伝票による記録すべき事項) 記載例(納品伝票による記録すべき事項) 図7※

記載例(請求書を活用した取引記録の作成・保存例) 記載例(請求書を活用した取引記録の作成・保存例) 図8※

流通BMSにより対象物の取引を行っている小売事業者が、記録の作成・保存が可能となる一例

それでは、既に流通BMSにより対象物の取引を行っている小売事業者が、記録の作成・保存が可能となる一例を紹介します。

✔ 流通BMSメッセージによる取引記録の作成について ・取引先となる加工事業者、流通事業者に、流通BMSの「出荷メッセージ」の自由使用欄半角カナ(No.88)に、「漁獲番号又は荷口番号」をセットしてもらう ・「出荷メッセージ」にセットされた内容は、「受領メッセージ」にも引き継がれる ✔ EDI取引データ保存による取引情報の保存について ・EDIデータは、「電子帳簿保存法の電子取引保存義務」により7年間保存されるため、「水産流通適正化制度」による3年間の保存期間の条件も満たされる

ただし、EDI取引データの保存方法は、各社異なります。

「水産流通適正化制度」の取引情報を帳票として出力又は帳票イメージとしてPC画面上などに表示する場合は、自社のシステム又は提供されている保存用サービスの確認が必要です。
帳票および帳票イメージで確認できることは義務ではありませんが、税務調査時の照会など、その記録を速やかに確認できるような措置がとられている必要があります。

また、水産庁で電子化に向けた取組として、「漁獲番号等伝達システム」を開発中です。小売業が本システムを利用することも可能です。

「特定第一種水産動植物等(アワビ、ナマコ(加工品含む))を販売、加工等する場合の届出」は、原則、電子申請(eMAFF)で届出を行います。詳細は、所轄の行政機関(都道府県)のホームページをご覧ください。

スマクラ for web バージョンアップ「水産流通適正化法対応機能追加」
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制度の概要(特定第二種水産動植物等関係)

1.制度スキーム 制度の概要(特定第二種水産動植物等関係)は、輸入事業者が対象になります。 制度の概要(特定第二種水産動植物等関係) 図9※ ※ 本文中の図4~図9の出所:「水産流通適正化制度について 令和4年10月/水産庁」

水産流通適正化法に係るQ&Aについて、以下に掲載されています。

「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律」に関するQ&A

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