EDIコラム「EDIの2024年問題を解決するインターネットEDI」(2023/12/19更新)

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NTT東日本・西日本が予定している固定電話網のIP化により、ISDN回線サービス「INSネット」の「ディジタル通信モード」が、2024年1月をもって終了になります。これは、ISDN回線を使ってEDI取引を利用している企業にとって、大きな影響を与えます。

このコラムでは、「EDIの2024年問題」を取り上げ、それを解決するインターネットEDIについて考えます。

EDIの2024年問題とは

企業間取引で発生する契約書や受発注書、納品書、請求書などの書類・帳票のやりとりが電子的に行えるEDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)は、企業間の取引プロセスを効率化することを可能にしました。

しかし、NTT東日本・西日本が、ISDN回線サービス「INSネット」の「ディジタル通信モード」を2024年1月で終了することで、この回線サービスを通信インフラとして利用している、JCA手順、全銀手順、全銀TCP/IPなどの通信プロトコルを利用する「レガシーEDI」は変更を余儀なくされます。これが、いわゆる「EDIの2024年問題」です。

NTT東日本・西日本は、ISDN回線サービスの終了に伴う影響を最小化すべく、既存の設備を利用できる補完策「切り替え後のINSネット上のデータ通信」(※1)を用意しています。しかし、この補完策は、アナログデータをIPパケットに交換するプロセスが入るため、処理時間が増加する場合があること、また、期間が2027年頃までと限定的なことから、いずれはインターネット回線を利用したインターネットEDIやWeb-EDIに移行する必要があると言えるでしょう。

(※1)NTT東日本「切替後のINSネット上のデータ通信」https://web116.jp/2024ikou/business.html

また、各業界においても動きが進んでいます。例えば、小売・卸・メーカー等で構成される流通業においては、これまで利用されていたJCA手順に代わって、インターネット回線を利用できる通信手順「流通BMS」というEDI仕様が定められ、標準となるよう移行が進められています。

INSネット 2024年1月サービス終了

インターネットEDIとは? スムーズな移行のポイント

インターネットEDIとは、文字通りインターネット回線を利用したEDIシステムのことです。JX手順、EDIINT AS2、ebXML MSといった通信プロトコルに対応し、前述の流通BMSをはじめとする、各種業界標準フォーマットの変換機能を提供します。そのなかでも、多くがクラウドサービスとして提供されているインターネットEDIは、低コストで導入できるのが大きな魅力です。

スマクラ EDI 概要図

インターネットEDIの例「スマクラ EDI」

「スマクラ EDI(インターネットEDI)」の詳細をみる

インターネットEDIへの切り替えにとって重要なのは、「2024年」という期限があるだけに、着実に実施する必要があるということです。EDIで取引している相手先が多ければ多いほど時間がかかるため、早急に取り組みをスタートさせることが求められます。

そのためにまずは、自社が属する業界のEDIシステムのトレンドを見定めることが肝心です。その後、新しく導入するインターネットEDIシステムの選定を行い、導入作業に入りますが、これにも一定程度の時間がかかります。

また、取引先との接続テストにも時間を要します。ただ接続が可能かというだけでなく、データのやり取りなどが滞りなく実行でき、業務プロセスに影響がないところまで確認する必要があります。そのため、テストは一度だけではなく、何度か繰り返し行うとよいでしょう。

インターネットEDIの製品選定の留意点

ここで、インターネットEDIを実現するときの留意点について考えてみましょう。

まず、自社が導入しようとしている製品・サービスが、どの通信プロトコルに対応しているか、どれだけ多くの事業者と接続できるのかを確認しておきましょう。さらに取り扱えるデータ形式に偏りがないか、業界の中でどれだけの規模で利用されているか、グローバル対応がしっかりできているかなどをチェックしておきましょう。

インターネットEDI チェック項目

また、業界標準のEDIシステムである業界VANを利用している場合は、業界VANの運営者が、インターネットEDIの対応をどこまで進めているのかを情報収集し、そのうえで、自社の取引先とインターネットEDIの接続がうまくいくのかを確認する必要があります。その際は、業界VANのセキュリティ対応についても万全の対策を講じているか、またインシデントが発生した場合はどのような対応手順が定められているか、などをチェックしておくとよいでしょう。

JX手順 EDIメッセージなどを送受信する際に必要となる通信ソフトウェアのクライアント-サーバ間で使用される通信手順。国際規格のSOAP-RPCを使用し、現在流通業界で主に使用されているJCA手順と同等の機能を実現している。
EDIINT AS2 IETF(インターネット技術の標準化組織)で標準化されたインターネット技術を活用した通信手順。通信プロトコルにHTTPを使用しており、SMTPベースのAS1、FTPベースのAS3と比較して多く普及している。
ebXML MS 国連のEDI関連組織により標準化が行われているebXMLの仕様のひとつ。企業間電子商取引でやりとりするメッセージをインターネットで伝送するための通信手順仕様。

表:主な通信プロトコル

また、取引先に小規模事業者がある場合には、インターネットEDIへの対応を検討していないこともあるでしょう。こうした企業と取引を継続する必要がある場合は、積極的に情報を提供して、対応を進めてもらうようにするとよいでしょう。数社でも、EDIが利用できず業務に手作業が残ってしまっては、業務効率化の妨げになってしまうからです。

さらに、ベンダー選定にあたっては、導入実績をはじめ、導入サポート、導入後の運用サポート体制も重要な視点となります。EDIに関する豊富なノウハウ、さらには、他システムとの連携など、トータルに相談できるベンダーを選びましょう。

DX推進の核となるインターネットEDI

昨今では、多様なプロトコルやデータフォーマットに対応し、さらにはCRMやSFAなどのシステムとも連携し、業績分析も行えるようなサービスが登場しています。また、EDIシステムの中にFAX対応しかできない企業に対しても、自動でFAX配信をしてくれるサービスがあれば、すぐに業務効率化を進めることができます。

DX推進とインターネットEDI

また、こうしたサービスの中には、電子データの蓄積場所も提供するものもあり、自社内のストレージシステムのひっ迫を避けることもでき、さらには、電子帳簿保存法対応のソリューションと連携することも可能です。

このように、インターネットEDIは、取引プロセスをより効率的にする可能性を秘めており、DXを推進するうえでの要となるシステムでもあります。2024年は、もうすぐそこまできています。先手先手の計画づくり、アクションが求められています。

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