EDIコラム「「DX動向2026」から考える、AI時代の企業間データ連携」(2026/10/22更新)

「DX動向2026」から考える、AI時代の企業間データ連携

生成AIをはじめとするAIの活用が、企業の業務に急速に広がっています。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公表した「DX動向2026」では、AIを導入または試験利用している企業が58.0%に達する一方、AIの活用による効果は業務効率化や迅速化が中心で、企業変革や価値創出への展開はまだ限定的であることが示されています。
AIを業務に活用し、その効果を広げていくためには、AIそのものだけでなく、活用するデータにも目を向ける必要があります。特に、発注、納期回答、納品、請求など、取引先との間で日々発生する情報は、企業間でどのようにつながっているでしょうか。
本コラムでは、「DX動向2026」の調査結果をもとに、企業間データ連携の現状を整理するとともに、実際の取引業務における課題にも目を向けながら、EDI/Web-EDIを活用して取引データをつなぐことの意義を考えます。

1.AI導入の広がりと「データをつなぐ」重要性

「DX動向2026」では、日本企業におけるDXの進展状況に加え、AI・データの利活用や、それらを支える人材について調査しています。
なかでも注目されるのがAIの導入状況です。調査によると、

●「AIを導入している」企業は42.3%
●「現在、試験利用をしている」企業は15.7%

でした。合計すると、58.0%の企業がAIを導入または試験利用しています。

AIは一部の先進企業だけが利用する技術ではなく、多くの企業にとって、すでに業務変革を考えるうえで無視できない存在になりつつあります。
一方、AIの活用用途を見ると、文書作成や情報収集など、個人の業務効率化に関する用途が中心です。また、AI活用による効果についても、業務効率化や迅速化などの「内向き」の成果が中心で、顧客満足度や売上向上などの「外向き」の効果は限定的とされています。
AIの導入そのものは進んでいるものの、AIを企業全体の変革や新たな価値創出につなげることは、まだこれからだといえるでしょう。

AIを業務に活用するうえで重要となるのが、活用するデータです。「DX動向2026」では、全社的または部分的にデータを利活用している企業は約6割となっています。
また、AI利活用に向けた学習データの整備状況を見ると、「整備しておりAIに活用している」は7.0%にとどまっています。一方、データの利活用を進めるうえでは、データの標準化や管理システムの整備、人材確保などが課題として挙げられています。
こうした状況から、AIやデータ分析の効果を引き出すには、必要な情報を活用できる環境を整えていく必要があると考えられます。
ここからは、「DX動向2026」の調査結果を踏まえた本稿独自の考察として、企業間のデータ連携に注目します。

DXというと、これまでは「社内の紙やExcelをデジタル化する」「業務システムを刷新する」「AIを導入する」といった、自社内の取り組みがイメージされがちでした。
しかし、企業活動は社内だけで完結しているわけではありません。発注、納期回答、納品、請求など、企業活動の多くは取引先や顧客とのやり取りによって成り立っています。こうした情報を企業間でもデジタルにつなぐことで、取引業務の効率化に加え、社内外のデータを活用するための基盤づくりにもつながります。
DXは単なるシステム導入ではなく、データを活用して価値を生み出す取り組みです。AI導入そのものをゴールとするのではなく、社内外のデータをつなぎ、活用できる環境を整えていくことも、DXを次の段階へ進めるための重要な視点の一つと考えられます。
その流れを整理すると、次のようなイメージになります。

社内から企業へ。データをつなぎAIで新たな価値を生み出す

社内のデータを整備し、取引先とのデータもつなぐことで、AIやデータ分析に活用できる情報の幅が広がります。企業間データ連携は、日々の取引業務を効率化するだけでなく、業務変革や新たな価値創出に向けて、社内外のデータを活用しやすくする要素の一つと考えられます。

2.企業間データ連携は、まだ発展途上

では、実際に企業間のデータ連携はどこまで進んでいるのでしょうか。
「DX動向2026」では、企業外部の主体とのデータ連携について、EDIなどの取引データ連携に限定せず、複数の形態で実施状況を調査しています。主な結果を見ると、

●「特定企業間での直接的なデータ連携」を実施している企業は35.6%
●「サプライチェーン内でのデータ連携プラットフォームの利用」は22.5%

一方で、いずれの形態でも「実施・検討していない」が過半数を占めています。

さらに、データ連携を実施している、または実施を検討している企業に、その目的を尋ねた結果を見ると、

データ連携の目的についての調査結果

●最も多かったのは「業務の効率化や自動化」で85.2%
●次いで「既存事業の改善やサービス高度化」が50.8%
●「新規事業やサービスの創出」は24.5%

この結果から、データ連携に取り組んでいる、または検討している企業では、現時点で既存業務の効率化や改善が主な目的となっていることがうかがえます。

ここからは、こうした調査結果を踏まえ、実際の取引業務に目を向けてみましょう。
受発注を電子化していても、発注後の納期回答や納品、請求までの業務には、手作業や情報の分断が残っていることがあります。

3.企業間データ連携の課題と、取引業務への影響

企業間データ連携を進めるうえでは、人材やセキュリティ、費用対効果などが課題となっています。「DX動向2026」では、

●「社内にデータ連携を企画・推進・実装できる人材が不足している」企業は45.7%
●「セキュリティ対策やプライバシー保護の負荷が高い」企業は38.7%
●「データ連携による具体的な費用対効果が見込めない・不明確である」企業は38.4%

といった結果が示されています。
一方、実際の企業間取引では、自社のシステムだけでなく、取引先が利用するシステムやデータ形式への対応も考慮する必要があります。

例えば、発注、納期回答、納品などの情報を、異なるシステムやメール、PDF、FAXなど複数の手段でやり取りしている場合、担当者による情報の確認・転記や、内容を照合する作業が発生することがあります。こうした手作業は、担当者の負担を増やすだけでなく、取引状況の把握や、蓄積したデータの分析・活用を難しくする要因にもなります。
こうした情報の分断や手作業が、企業間データ連携を進めるうえで見直すべきポイントの一つとなります。

メール、PDF、FAX、Excel、システムなどに取引情報が分散しているイメージ

4.企業間取引をデジタル化する「EDI/Web-EDI」

企業間データ連携を進めるうえで、その起点の一つとなるのが、受発注などの企業間取引のデジタル化です。
その仕組みの一つとして、EDI(Electronic Data Interchange)が活用されています。EDIは、企業間で発生する受発注などの取引データを、コンピューター間で電子的に交換する仕組みです。
また、Webブラウザを利用して企業間取引を行うWeb-EDIも、取引情報をデジタルでやり取りする方法の一つです。

企業間取引をデジタル化する「EDI/Web-EDI」

EDI/Web-EDIを活用することで、受発注などの取引情報を電子データとしてやり取りでき、紙の帳票を使った処理や、情報の入力・転記といった手作業の削減が期待できます。
さらに、EDI/Web-EDIとERPや基幹システム、会計システムなどの社内システムを連携することで、取引データを社内業務で活用しやすくなります。データをシステム間で連携できれば、入力や転記などの手作業を減らし、業務の効率化にもつながります。ただし、実際にどこまで連携・活用できるかは、導入する仕組みや社内システムとの接続方法によって異なります。

このようにEDI/Web-EDIは、企業間取引をデジタル化し、その先のデータ活用へつなげていくための仕組みの一つと考えられます。

5.まずは取引業務の「現在地」を把握する

企業間データ連携を進める際には、自社の取引業務の現状を把握することが大切です。
どの情報を、どのような手段で取引先とやり取りしているのか、次の観点から整理してみましょう。

●取引情報の受け渡し方法: 発注、納期回答、納品、請求について、EDI/Web-EDI、メール、Excel、FAXなど、どのような手段でやり取りしているか
●手作業が残っている業務: 情報の転記、照合、入力、確認にどの程度の作業時間や負担が発生しているか
●データの活用状況: 取引データを社内システムで参照・集計できるか、業務改善に活用できているか
●取引先との連携状況: 取引先ごとの方式の違いにどのように対応しているか

取引業務の現状を整理

すべての業務を一度に見直す必要はありません。まずは、転記や照合に時間がかかっている業務、入力ミスや確認漏れが発生しやすい業務など、課題が明確な領域から優先的に見直してみましょう。見直しの際には、作業時間、手入力の件数、入力ミスや差し戻しの件数、発注から納期回答までの所要時間などを確認しておくと、改善前後の効果を把握しやすくなります。

こうした現状を整理したうえで、既存EDIの活用範囲を広げる、Web-EDIによって取引をデジタル化する、社内システムとの連携を進めるなど、自社の状況に合った方法を検討していくことが重要です。

6.企業間データ連携を支えるサービスとは

企業間データ連携を進めるには、自社の業務だけでなく、取引先とのデータの受け渡し方法や、既存システムとの接続も考慮する必要があります。そのため、企業間取引のデジタル化を支えるサービスを活用することも、選択肢の一つです。

SCSKのスマクラは、EDI・企業間取引領域で40年以上のサービス提供実績を持ち、企業間の取引データをデジタルでつなぐサービスを提供しています。
Web-EDIをはじめとする企業間取引のデジタル化に加え、ERPや基幹システム、会計システムなど、さまざまな社内システムとの連携実績があります。取引先とのデータ連携から社内システムとの連携までを支援することで、手作業の削減や業務の効率化、取引データの活用につなげます。また、導入から運用までのサポートを通じて、企業間データ連携の仕組みづくりを支援しています。

AI活用が広がる今、企業間取引で日々発生するデータをどのようにつなぎ、活用していくのか。
まずは自社の取引業務に残る手作業や情報の分断を把握し、EDI/Web-EDIの活用を含めて、改善できるところから検討してみてはいかがでしょうか。

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出典
「DX動向2026」
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
2026年7月30日
https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2026.html
※「DX動向2026」に掲載されたアンケート調査は、日本標準産業分類の19業種(「公務」を除く)の企業の経営層またはICT関連事業部門を対象に実施され、1,799社から有効回答を得ています。
※本稿のうち、「DX動向2026」に関する記載は同資料をもとに要約しています。企業間データ連携の意義や、EDI/Web-EDIを起点とした取引データの活用に関する内容は、調査結果を踏まえたスマクラ独自の考察です。

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