【特集】 「スーパーマーケット・トレードショー2018」 にてパネルディスカッションを開催(後半)

スーパーマーケット・トレードショー2018
「第52回スーパーマーケット・トレードショー2018」 の中で、「生鮮業務の生産性向上(スマクラ活用) ~流通BMS導入と手書き伝票の撲滅(EDI化率99.7%を達成)青果の不良品分析を実現~」 と題して、パネリストとして、株式会社東急ストア 山口修平氏(経営統括室 情報システム課長)、一般財団法人 流通システム開発センター 坂本真人氏(ソリューション第2部次長)、コーディネータを、一般社団法人 日本スーパーマーケット協会 篠原豊氏(情報システムアドバイザー)に迎え、パネルディスカッションを行いました。
後半は、流通BMSの導入を機に業務改革を、特に生鮮部門でも業務改革を行い、手書き伝票の運用を0.3%まで抑えるとこに成功した取り組みについて、株式会社東急ストア 山口修平氏、流通BMSの今後の活用・発展について、一般財団法人 流通システム開発センター 坂本真人氏の講演資料をご紹介いたします。

株式会社東急ストア 山口さんにお聞きします。
流通BMSへの切り替えを検討するきっかけを教えてください。また、以前は、どのような形でEDIを運用されていたのでしょうか。

流通BMSへの切り替えを検討するきっかけは、お取引先様、特に大手卸様からのご要望でした。「東急さんは流通BMSを導入していますか」との質問が、ある時期から非常に増えたのを記憶しています。それまでの、当社のEDIシステムを簡単にご説明すると、当社が特殊だと思いますが、VAN会社5社を利用していた時代を経て2社に絞り、長年、同じVAN会社を利用してきました。当然、EDI化も進めており、2006年にドライ系、2008年に低温系を移行し、EDI化率は約98%に達していました。JCA手順ではありましたが、ペーパーレス化が進んでおり、システム面、運用面にも特に大きな問題があったわけでもありませんでした。当然ですが2011年時点では、今ほど流通BMSが普及していない段階で、あえて切り替える必要性は感じていませんでした。

お取引先様の要望はあったものの、あえて他社に先駆けて行う必要はないとのお考えが変わられ、流通BMSの導入に前向きになられたのはどのようなきっかけがあったのでしょうか。

2012年の1月にSCSKさんの本社で行われた業界4団体主催の流通BMS普及推進説明会に参加し、そこで、流通BMSの普及状況や導入メリット、今後の展望などの話を伺い、導入に対して前向きに検討するべきだと考えたことを記憶しています。

東急ストア様としての取り組むポイントは具体的にどのような内容なのでしょうか。

第一に、業界的に流通BMSを普及させ、業界全体のサプライチェーンの効率化を推進していく中で、当社も遅れをとってはいけないと感じました。もちろん、取り組む以上は、当社にとっても導入のメリットが必要不可欠であり、いろいろと検討をしてみると、長く見直しをかけてこなかったVAN運用の箇所は、スマクラを活用することにより、お取引先様のVAN会社との契約形態を、個別契約から本部包括契約にすることによる利用料金の大幅低減や、サービスレベルの向上によるお取引先様との関係強化、また、VAN運用費用の可視化など効果が見込めることが分かりました。
導入に対するメリットが整理できたことで、当社として、流通BMSを2012年8月稼働とすることを、流通業界でBMSの普及展開を積極的に取り組む企業グループでの「流通BMS導入宣言」の中で明示しました。この業界団体・企業の宣言は、現在、流通BMSがスタンダードなEDIとして認知されるに至った大きな一歩だった感じており、また、そこに協力できたことは非常に良かったなと感じています。

スマクラを採用した要因を教えてください。

これまでお付き合いがあったVAN会社にSCSKさんを加え、2012年の4月から6月にかけてコンペを行いました。当社は、新規企業とのお取引には非常に慎重なのですが、これまでお取引がなかったSCSKさんにお声掛けをしたのは、SCSKさんのご提案で流通BMSの導入を決めたことに加え、すでにスマクラを導入されていた流通企業から、「コスト面もサービス面もとてもいい」というお話を聞いていたからです。コンペの結果、従来からのVAN会社とSCSKさんの2社体制で行くことに決定しました。
スマクラを採用したのは、業界4団体の推奨であるという信頼感、Webサービスが充実していて様々なパターンに対応できること、パソコンとインターネット環境があればすぐにEDI取引ができること、今後の発展性、コスト面などから総合的に判断した結果です。
先程も言いましたが、他のVAN会社と比較したときに、特に低コストで導入・運用できることは大きなポイントでした。この時、VAN会社を1社に絞らず2社体制にしたのは、危機管理意識と競い合いも必要なのではという考えから、あえて全てをSCSKさんへ切り替えず、コンペで外れたVAN会社に紐づいていたお取引先様を、SCSKさんに切り替えるという方法をとりました。お取引先様へは突然のお願いとなりましたがご協力いただいたのを記憶しています。

手書き伝票撲滅を進められた経緯を教えてください。

スマクラ導入当時、EDI化率が約98%まで進んでいたものの、月によっては最大で月間約4万枚の手書き伝票が発生していました。残っていた手書き伝票の内、最も多かったのは、出荷開始型の取引に関わる伝票です。出荷開始型の手書き伝票は、外部会社に委託し、データ化してもらっていたので、1枚数十円のコストが発生し、月間4万枚ともなれば総コストは膨大になります。当社は、全社的にコスト削減に取り組んでおり、情報システムにとって、手書き伝票の撲滅は長年の課題でした。
スマクラを導入した当時は、まだ流通BMSで出荷開始型取引の標準化がされていなかったのですが、せっかく受発注システムをスマクラに移行したのに、出荷開始型のお取引先様だけ別の仕組みで動かすことはお取引先様にとっても当社にとっても効率的ではないと考え、「出荷開始型の取引についてもスマクラforWebに移行できないか」と、SCSKさんに相談した結果、スマクラforWebの手書き伝票機能をカスタマイズで実装するという方針が決まり、2013年8月に手書き伝票撲滅の取り組みをスタートさせました。

手書き伝票撲滅に向けてお取引先様との取り組みはどのようにされたのでしょうか。

出荷開始型の手書き伝票は、お取引先様が実際に伝票を手書きで起票していたわけではなく、お取引先様は自社システムに手入力し、ドットプリンター等で印字された伝票を納品するケースがほとんどでした。つまり、お取引先様が手入力し、印字された伝票を、当社は外部会社に委託し、そこでもデータの手入力を行っていたので、これでは二度手間で余分なコストがかかるだけでなく、手入力する際にミスが生じる危険性もあると思いました。お取引先様に当社用にカスタマイズしたスマクラforWebの画面から、伝票情報を入力していただければ、A4サイズでのPDF出力が可能なため、専用伝票やインクが必要なドットプリンター等での印字も不要になるわけです。
スマクラforWebは、当社の商品マスタと連携させているため、マスタから商品情報を呼び出すことはもちろんできますし、マスタ登録がないイレギュラーな商品に関しても、部門コードを呼び出して部門仕入れという形をとることで、伝票起票が可能になります。
2013年11月に、お取引先様説明会を実施し、当社との取引は、基本的にスマクラforWebの画面上で全て対応が可能なこと、納品翌日には計上データが確認できることをお取引先様にお話し、双方にメリットがあることをご説明しました。
お取引先様も、コストを削減したいという思いは当社と同じであると思います。お取引先様の大半が協力的だったため、切り替えはスムーズに進み、約2万枚の手書き伝票を削減することができました。

出荷開始型の伝票に「内部統制」という観点から承認機能を付けられた理由を教えてください。

出荷開始型の取引は、EDI発注に間に合わない緊急対応で、店舗から電話やFAXで発注するため、その情報はデータで残りません。当社が発注したものと別の商品や、発注していない商品が納品された場合、原因の確認が取れない恐れがあると考えました。こうした事態を避けるために、SCSKさんに出荷開始型の取引について、店舗と本部が承認しないと、基幹システムに伝票データを取り込めない機能(承認機能)を実装して欲しいとお願いしました。以前からシステム導入における内部統制を徹底している当社にとって、この機能は必須要件でした。
SCSKさんは初めてのケースで戸惑われたようですが、当社の考えを理解していただき、スマクラforWebの手書き伝票機能に、カスタマイズで承認機能を実装してくれました。これにより、出荷開始型の伝票は、店舗が確かに発注し、納品されたことを承認した上で、更に、本部が承認し基幹システムに取り込むため、責任の所在が明確になり、後で問題が生じることがなくなりました。同様に、物流センター経由における出荷開始型伝票にも承認機能を付け、物流業務委託先がスマクラから承認をしてもらう運用フローにご協力をいただいている現状です。

その後のペーパレス化の進捗と、手書き伝票撲滅の取り組みで頑張ったと思われるポイントを教えてください。

当社は、伊豆にも3店舗を構えていますが、個人経営の現地お取引先様が多く、EDI化が全くと言っていいほど進んでいませんでした。手書き伝票撲滅のためには、このお取引先様とのEDI化も必須と考え、個々のお取引先様に当社の考えをご説明し、2015年3月にはスマクラに移行し、EDI化を実現しました。また、専門店についても2015年5月にお取引先様説明会を実施し、「これまで手書きで起票していただいていた伝票について、パソコンを使って、同じ内容をスマクラforWebの画面に入力すれば良いため、負担は少ない」というご説明をし、ご協力を得ることができました。
最後に残ったのが、年末に各店舗でお客様から承った年賀状の印刷を、専門会社様に依頼した際に発生する手書き伝票でした。お客様にご記入いただいた承り用紙を基に、専門会社様が刷り上がった年賀状に手書き伝票を付けて各店舗に納品しており、出荷開始型と流れは同じです。お客様1人に対し1枚の伝票が必要で、年末には、大量の手書き伝票が発生していました。 先程も申し上げましたが、手書き伝票のデータ化は外部会社に委託していたので、コストもかさんでいました。この専門会社様についても、SCSKさんと協力してスマクラforWebを活用する説明を実施したことで、EDI化にご協力いただき、手書き伝票の大幅削減が実現しました。その結果、コスト削減だけでなく、経理部門の伝票チェック業務もなくなるなど、様々な波及効果があったと思います。
更に、2015年6月に、まだEDI化していないお取引先様への説明会を実施したことで、手書き伝票が月間3千枚まで減りました。よって、現在のEDI化率は99.6~99.7%程だと思います。
残りの手書き伝票は、当社の高級業態である「プレッセ」で、こだわりの商品等を扱うお取引先様との取引や、一部の生鮮品の緊急対応により発生するものなどがありますが、まだまだ減らす余地はあると思っています。
実際に利益を得る営業部門と異なり、情報システム部門の会社への貢献度は表面に出にくいのが実情であると考えます。いわば縁の下の力持ちですが、システム化を進めることで、無駄を省き、コスト削減に寄与すことが、我々、後方部門のミッションの1つであると考えています。

流通BMSの定義されている範囲ではありませんが、青果不良品クレーム報告をスマクラに追加して取り組もうと考えたきっかけを教えてください。

生鮮の鮮度は、スーパーマーケットにとっての生命線だと思います。会社として、青果の鮮度をもっと上げていこうという取り組みを進めており、その一環として、スマクラに青果不良品クレーム対応の機能を付けられないかと考えました。それまでは、青果の納品時に不良品が発生している場合、各店舗の青果担当者が、「腐っていた」「傷がついていた」など、手書きで専用の不良品報告書を作成していました。また、原価や売価も付記するので、いちいち調べるという手間もありました。これをFAXで商品部に送付し、受け取った商品部は、不良品の内容を確認後、お取引先様別に仕分けをして送付するとともに、移動情報を基幹システムに手入力していきます。不良品報告書は1商品に付き1枚で、それが全店から送られてくるため、平均すると月に2,500枚にのぼり、確認、集計、仕分けの作業量は膨大でした。そして、不良品報告書を受け取ったお取引先様は、商談記録を作成して返品伝票を起票し、当社の商品部に送付。商品部で最終承認後、経理部門に送りますが、ここでも伝票の手入力の作業が発生していました。
また、大量の不良品報告書が蓄積されていくものの、紙ベースなので、どんな種類の商品が、どんな状態で不良品になっているのか、更に、どのお取引先様からの商品に不良品が多いのかといった集計や分析が、なかなかできないという悩みがありました。ここをシステム化すれば、作業が大幅に軽減されるだけでなく、不良品の多い商品、状況、出所などを分析することで、もう一段鮮度が高められるとういうのが狙いでした。

青果不良品クレーム報告システムでどのように変わったのか、メリットはどのような点にあるのか教えてください。

当社の要望を聞いたSCSKさんは、今までのフローを踏襲する形でシステム化し、基幹システムと自動連携させるなど、カスタマイズで「青果不良品クレーム報告システム」をスマクラに実装してくれました。お取引先様のご協力も必要なので、説明会を実施してご納得いただいた上で稼働させました。
新たな「青果不良品クレーム報告システム」では、店舗は、スマクラの画面で不良品報告書のフォーマットに従って必要事項を入力するとともに、不良品を撮影した画像をアップロードすると報告完了です。商品部は、送られてきたデータを確認し、問題がなければ承認します。承認すると、お取引先様がスマクラの画面で見られる状態になりますので、お取引先様が画面で確認して承認し、そのデータが本部に戻ってきたら本部が最終承認をします。商品部、お取引先様、本部の3段階で承認することになり、その記録もスマクラに残ります。
最大のメリットは、どの段階でも、スマクラの画面で可視化された報告書を見られるため、状況が正確に把握でき、データも残ることです。そして本部にとっては、膨大な紙の束から解放され、手作業で仕分けする必要がないことや、データベース化されるため、いつでもその情報を検索でき、上長やバイヤーが状況を把握しやすいことや、不良品が多い商品やお取引先様、どんな状態の不良品が多いのかなどの分析も可能になったことなど、メリットは多大にあると思います。また、基幹システムと自動連携しているので、基幹システムへの手入力もなくなり、経理にもスピーディにデータがいくので、会計処理もタイムリーにできるようになりました。

青果不良品クレーム報告システムの成果と今後の目標を教えてください。

当社の目標は不良品のクレームゼロです。そのために、物流センターではバイヤーが定期的にチェックし、各店舗では、納品時や品出し時に商品をよく見て、まず不良品を店頭に出さないように細心の注意を払い、陳列中も劣化がないか随時気を配ります。更に、鮮度キーパーという職務の人間が、営業中に店舗内を回って売場の商品をひとつひとつチェックし、問題がある商品は陳列棚から外します。それでも、青果は不良品が出やすく、なかなか撲滅ができないのが現状です。
今回のシステムは、納品時の不良品を減らして、鮮度の高い商品を店頭に出すという部分で貢献できるシステムです。今後、データベースを基に、不良品の発生する原因などにも踏み込み、納品時の不良品を更に減らせると思います。また、お取引先様が可視化されたデータを見られるようになったことで、先方もその後の納品に生かしてくださると期待しています。
往々にして、納品時に問題があるものは、1ケース全部が不良品ということも多く、そんな時は、売り物がなくなるわけでチャンスロスが生じます。しっかりしたデータがあれば、頻繁にそうした商品を納品するお取引先様に対して、注意を喚起することもできます。
今後、精肉、鮮魚にも同様のシステムを拡大していきたいと考えています。

EDI機能をスマクラに1本化された経緯を教えてください。

SCSKさんから、VAN会社1本化のご提案は当然のようにいただいていたのですが、スマクラ稼働後も従来からのVAN会社を1社残して、SCSKさんとの2社体制にしていたのは、万が一、1社に障害が生じた際のリスクヘッジと、2社あれば競争原理が働くという考えがあり、あえてその体制をとっていました。しかし、現実を考えると、1社にトラブルが発生した時、もう1社にデータを飛ばして対応してもらうことはできません。大規模災害などで受発注のストップや遅延などが生じた際も、VAN会社2社と対応に当たるのも厳しいと思います。
今の時代、当たり前のことであえて言う必要もないのですが、SCSKさんも関西にセンターを置くなどBCP(自然災害などへの対応計画)機能も整備されていて、万が一の事態が発生した時の体制がしっかりしていることや、競争原理に関しても、価格面ではスマクラが圧倒的にリーズナブルで競争になりませんでした。しつこく言いますが価格面は、ずば抜けています。
折から、物流センターを含めてT字型構造を構築する上でも、VAN会社の1本化が望ましいと考えていた時期でした。それで、改めてVAN会社の見直しを図り、スマクラに統合した方が効率的で、コストも抑えられるということで、情報システム部内ではスマクラに統合する方針が固まりました。
まだ、支払データに関してはシステム的対応が終わっていなかったので、上層部には支払データのシステム化の提案と合わせて、「近い将来、流通BMSへの完全移行は必須で、そろそろ準備すべきタイミングが来ている。まず、順番としてVAN会社の統合から進めたい」と進言し、承認を得たことを覚えています。

スマクラへの統合は、どのような課程で行われたのでしょうか。

従来からのVAN会社を利用していたお取引先様のスマクラへの切り替えは、最初の切り替え時同様スムーズに移行できました。また、支払データに関しては、EDI化がなされているお取引先様は、「スマクラfor Web」の支払案内の機能が使えますが、まだEDI化ができていないお取引先様については、このタイミングでスマクラの「支払案内Web=スマクラ便」を稼働させ、スマクラのシステムに乗せました。
EDI化できていないお取引先様は、主として東急ストアに入っているテナント様で、商品の受発注はなく、当社からの賃料等の請求が主です。スマクラ便は、EDI上でスマクラと繋がっていないお取引先様に、支払の請求案内をWebで開示するシステムで、パソコンとインターネット環境が整っていればすぐに利用できます。お取引先様に負担はなく、業務が効率化されるので歓迎されましたが、伊豆にある個人経営の1社だけ、パソコンがないというところがありました。そのお取引先様にはパソコンを購入していただき、SCSKさんが現地に出向いて、インターネットの接続から操作方法まで説明してくださいました。今は問題なくお使いいただいています。
また、受発注のメッセージのやりとりとは別に、当社からお取引先様へお知らせしたい情報などを書き込める、掲示板のような「スマクラポータル」機能も付加され、今後、スマクラが全お取引先様との窓口になる準備も整いました。
そして、2017年7月には、預かり在庫センターとお取引先様との受発注システムもスマクラに切り替え、スマクラへの統合が完了しました。

一般財団法人 流通システム開発センター 坂本さんにお聞きします。
流通BMSの今後の活用・発展に関してお教えください。

2018年12月より、企業間の銀行送金電文が現行の「固定長電文」から「XML電文」に移行します。利用者側が自由に使える「EDI情報欄」も大幅に拡張(現在の20桁から140桁で繰り返し利用が可能)され、有効活用による決済関連事務作業の合理化効果が期待されます。
また、金融業界と流通業界の間の情報交換をインターネット網利用・XMLメッセージでの実稼働に向けて、共同実証を行いました。参加企業全てが、業務時間削減可能という結果(経理処理方式の違い等の理由)ではなかったですが、大手卸売業の売掛消込業務で「1,680時間/年」の削減、大手小売業の販売条件・リベートの入金管理業務で「9,250時間/年」削減が、実現可能との検証結果が出ました。企業毎に、経理形態が異なっていることもあり、業界平均での効果算出は難しいですが、金融機関からの入金情報に詳細情報を付加できることで、経理における、各種入金管理業務等の効率化・高度化が実現できる企業があることを実証できました。
流通BMSの普及は、小売業による「流通BMS導入に関連した取引先説明会」の開催などで、導入企業数も一気に拡大し、最近は加工食品と日用品の取引先だけでなく、アパレル、一般大衆薬や生鮮分野へ導入が進んでいます。しかし、流通業界全体では、まだ半数にも達していません。
現在、流通業界以外と情報交換を行う際には、相対する業界独自の仕様や、個別企業の独自仕様、紙ベースで行なっています。流通BMSが採用している現在のIT環境において、利用しやすい「インターネット網を使用したデータ伝送」「情報の記述言語はXMLスキーマ」を使用することで、情報連携の効率化・高度化、ソフトウェア資産管理の軽減が図れると考えています。
流通業界の枠を超えて、通信インフラが統合されれば、中小企業も含め、更なる効率化・効果拡大が望めると考えています。

最後に、株式会社東急ストア 山口さんから一言お願いいたします。

当社に限った話ではありませんが、世の中全体で少子高齢化が加速する中、限られた要員で今以上のサービスをお客様へ提供し続けるためには、非効率な業務をITの力で効率化することが必要であると思いますし、お取引先様とのさまざまなやり取りについても同様のことが言えるのではないかと思います。その手段として、流通BMSの導入であったり、スマクラの有効活用等があるのではないかと思います。
当社は、これからも今日お話ししたことに限らず、システム部門として構造的コスト削減であったり、生産性向上のための仕組みづくりを急ピッチで進めていこうと思います。