VAN会社2社体制から流通BMS対応のスマクラに移行。同社の要望がスマクラの新機能開発にも結びつく 5つの成果
スマクラへの切替えをご担当された、経営統括室情報システム 部長 鈴木恵介様と、経営統括室情報システム 情報システム課長 山口修平様に、導入決定の経緯、システム構築の過程、導入後の成果などをお話しいただき、4回に分けてご紹介いたします。(お二人のお話を統合しています。)
連載第4回
2013年1月、それまで利用していたVAN会社2社の内、1社分をスマクラに切替えられた東急ストア様は、これを機に、最大で1ヶ月4万枚あった手書き伝票撲滅の取り組みを開始され、2015年夏には月3千枚まで削減することに成功されます。その後、基幹システム刷新に伴い、スマクラのバージョンアップは一次立ち止まり、刷新後の2017年、スマクラに青果不良品クレーム報告のシステムを付加されました。次いで、従来から継続利用していたVAN会社分をスマクラに切替えられ、さらに、同年7月、物流センターもスマクラに切替えられたことで、スマクラへの統合が完了しました。第4回(最終回)では、スマクラへの統合についてご紹介します。
第3回をみる

スマクラに1本化された経緯は?

SCSKさんから、VAN会社1本化のご提案はいただいていたのですが、スマクラ稼働後も従来からのVAN会社を1社残して、SCSKさんとの2社体制にしていたのは、万一、1社に障害が生じた際のリスクヘッジと、2社あれば競争原理が働くという考えがあったからです。
しかし、現実を考えると、1社にトラブルが発生した時、もう一社にデータを飛ばして対応してもらうことはできません。大規模災害などで受発注のストップや遅延などが生じた際も、VAN会社2社と対応に当たるのも厳しい。
SCSKさんにトラブル発生時の対応をお聞きしたところ、関西にもセンターを置くなどBCP(自然災害などへの対応計画)機能も整備されていて、そちらにデータを飛ばしてカバーできるというお話でした。競争原理に関しても、価格面ではスマクラが圧倒的にリーズナブルで、競争になりません。

スマクラBCP

折から、物流センターを含めてT字型構造を構築する上でも、VAN会社の1本化が望ましいと考えていた時期でした。それで、改めてVAN会社の見直しを図り、スマクラに統合した方が効率的で、コストも抑えられるということで、情報システム部内ではスマクラに統合する方針が固まりました。
まだ、支払データに関してはシステム的対応が終わっていなかったので、上層部には、支払データシステム化の提案と合わせて、「近い将来、流通BMSへの完全移行は必須で、そろそろ準備すべきタイミングが来ている。まず、順番としてVAN会社の統合から進めたい」と進言し、承認を得ることができました。

スマクラへの統合の課程は?

従来からのVAN会社を利用していたお取引先様のスマクラへの切替えは、最初の切替え時同様スムーズに移行できました。
また、支払データに関しては、EDI化がなされているお取引先様は「スマクラfor Web」の支払案内の機能が使えますが、まだEDI化ができていないお取引様については、このタイミングで、スマクラの「支払案内Web=スマクラ便」を稼働させ、スマクラのシステムに乗せました。
EDI化できていないお取引様は、主として東急ストアに入っているテナント様で、商品の受発注はなく、当社からの賃料の請求が主です。スマクラ便は、EDI上でスマクラと繋がっていないお取引先様に、支払の請求案内をWebで開示するシステムで、パソコンとインターネット環境が整っていればすぐに利用できます。お取引先様に負担はなく、業務が効率化されるので歓迎されましたが、伊豆にある個人経営の1社だけ、パソコンがないというところがありました。そのお取引先様にはパソコンを購入していただき、SCSKさんが現地に出向いて、インターネットの接続から操作方法まで説明してくださいました。今は問題なくお使いいただいています。
また、受発注のメッセージのやりとりとは別に、当社からお取引先様へお知らせしたい情報などを書き込める、掲示板のような「スマクラポータル」機能も付加され、今後、スマクラが全お取引先様との窓口になる準備も整いました。
そして7月には、預かり在庫センターとお取引先様との受発注システムもスマクラに切替え、スマクラへの統合が完了しました。

提供サービス概要

スマクラの使い勝手、及び情報システム部としての今後への想いは?

稼働してから現在まで、スマクラに障害が生じたことはありませんし、お取引先様からのクレームも皆無で、順調に稼働しています。
当社とお取引先様全てがスマクラで繋がった今後、より便利なシステムを付加していただけるのではと期待していますし、我々も、必要な機能を提案していきたいと思っています。
受発注システムに限らず、情報システムの技術はどんどん進化しており、我々情報システム部は、関連する展示会に出向いたり、ベンダー様に話を聞き、常に、最新の情報を得る努力をしています。しかし、新たなシステムで、こんなことができます、あんなこともできますと言われても、そのまま導入するのではなく、当社にとってどのように生かせるのかが重要で、運用方法やシステムのカスタマイズも必要でしょう。そのためには、自社の強み、企業価値を踏まえ、それをさらに高めていくにはどうすべきかを考えなくてはなりません。現場をよく見て理解する必要もあります。単なるシステム屋ではなく、会社の経営にまで踏み込んで、情報システムと取り組んでいきたいと思っています。

 株式会社東急ストア
【本社所在地】 東京都目黒区上目黒1丁目21番21号
【創業】 昭和31年10月10日
【年商】 2,036億48百万円(平成28年度)
第3回をみる